1)射撃祭を語る上で外せないのがグレーディング。
グレーディングとは、コインの状態を数値化したものです。
グレーディングに出すと、点数を表記したケースに入れた
コインになり、評価が高ければ価値が大幅に上がります。
例えば下の写真は2004年の銀貨で本物で、69点ということになります。
カタログの番号も書いてありますね。
価格は書かれておりません。オークション等で変動するから書いても
意味がないのです。
学校のテストと違い、なぜか満点は70点。
それに加えてプルーフコインでは「カメオ」という評価基準があります。
こちらはわかりにくいので具体例をあげましょう。
上は1984年の未使用タイプの銀貨、下はProofタイプです。
上の方はダイで打っただけで、金属がむき出しになっている感じです。
Proof タイプはヘルベティアが霜降りのように白っぽく見えて美しい。
このように美しく仕上げてあるコインをグレーディングすれば
「Ultra Cameo(NGCの場合)(又は「Deep Cameo(PCGSの場合)」)
という評価がつけられます。
一般的にはUC、DCと省略されることが多い。
霜降りの度合いが少し劣るものは単に「Cameo」と表記されるが
射撃祭では試作貨を除いて滅多にないから意識する必要はありません。
従って最も高い評価はNGC 70UC(又はPCGS70DC)ということになります。
下の銀貨はレギュラー銀貨で最も珍しい1984年銘で70ULTRA CAMEOだから
非常に価値が高く、5枚しか存在しない。50万円とも100万円とも言われています。
2)現代射撃祭の場合、標準的なグレードは69UCです。
そして70UCになるとそれなりのプレミアムがつきます。
ただ、銀貨の場合、古いものはできが良くないものの比率が高く、70UCが出にくい傾向があります。
また、最近でも、ダイのできが悪く、70UCが非常に出にくい年もあります。
例えば1984年~1991年、1996年、1999年、2000年、2001年、2004年、2007年、
2008年、2009年、2012年、2014年、2023年等はグレーディングしても70UCに
なることは非常に稀です。私はこれを「70特年」と呼んでいます。
全体の半分が70特年ということになります。
70特年は必ずしも人気のあるコインではないが、それなりの価格になるから
落札するのはつらい。例えば2008年銀貨の場合、69UCなら3万円で落札
できるのですが、70UCだと8万円したりするのです。
自分でグレーディングする場合も、時としては20枚グレーディングしても
1枚も70UCが出ないこともあります。68ばかりコレクションに加えたくないものが
ごっそり残ります。
これは精神的に厳しいですよ。
これだけの難所難所を突破して70UCで揃えることは資金力とド根性がなければ
とてもできないが、私はチャンピオンだから揃えました。
時としては大量にグレーディングに出して入手したり、友人に頼んだり、高い
運賃と消費税を払って、アメリカから輸入したこともあります。
でも、多分、世界初の快挙ですよ。
私が大記録を達成した後、もうひとり、コンプリートしたいという友人がおり、
私に続いてコンプリートしました。
ただ、モダンコインですから今後発行される銀貨も70UCを入手し続ける必要が
あり、不屈の精神が必要です。
3)鑑定会社ではNGCとPCGSの2社が一流で、それ以外の会社でグレーディング
したものは価値が低いです。
NGCとPCGSではPCGSの方が鑑定が厳しいと言われてきたが、必ずしもそうでは
なくなったようです。
その証拠にPCGS70DCのコインをNGCで鑑定しなおそうとしたことがあるが
70UCにはならないということで鑑定してもらえなかった(1987年)。
2016年以降。発行元 Antiqua Coins社は自社でも状態の良いものをピックアップし、
グレーディングに出して「付加価値」をつけて販売することがあるが、
全てNGCです。
最近の新発コインではPCGSの鑑定品は非常に少なく、NGCはスタンダードになって
いると考えて良い。
グレーディングに依頼するならNGCが良いと思います。
ただ、個々のコインで言えば70DCの方が70UCよりはるかに少ないことが多い。
例えば1992年金貨はPCGS70DCは私の持っている1枚しかありませんがNGCは2ケタ
あります。
私はスラブの形が違うのだからNGCを中心に集めた方が統一感があってカッコイイ
と言っているだけで、混ざっているからといって価値が下がるという意味では
ありません。
4)射撃祭コインを集める場合、69UC以上で揃えるのが理想的です。
2016年以降は、Antiqua Coins社が製造直後、良いものをピックアップして
自社でグレーディングに出す比率が上がり、70UCの有難味が低くなったが
それ以前のものは可能であれば高くても70UCを入手することを勧める。
全体的に見ると、どんどんNGCの割合が上がっているから、ビギナーの方は
NGCで揃えると良いが、オークションでグレーディング済のものは会社を
選べないのであるからムリに合わせるほどでもない。
5)最後に70UC(70DC)の美しいコインをMental Shareしましょう
どれも現存数10枚以下の激レアコインです。
前に書きましたけれど、Mental Shareというのはコレクションを見せびらかしたり
自慢するのではなく、「心の中で共有したい」ということです。
自分のコレクションだと思い、目の保養をして欲しいというおもてなしなのです。
但し、寝ている子を目覚めさせて、Mental Shareではガマンできない。
「物理的に」欲しいという方がいるかもしれません。その場合はご相談下さい。
1枚しかないものはどうしようもありませんが、一生懸命探します。

